発表会の当日に、出演者に配布したプログラムのごあいさつ文です。
共演してくださった方に褒められたので、ここに転記しますので、
お読みください。
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ごあいさつ
新型コロナウイルスの存在に右往左往する毎日を過ごしていることは、ご周知の
とおりかと思います。
私が今回のテーマにしたかったのは、「解らない世界」です。
科学技術が発達し、最先端の技術を謳歌したような社会に暮らしている中で、
今のわたし達が直面しているのは「解らない」ということです。
結局のところ、現時点ではコロナウイルスへの対処方法の正解も分からず、
このウイルスの正体も分かっていないことです。
豊橋へ向かう途中で、いつも海が見えます。
海は青く見えるのですが、もし海がスケルトン状で海中が常に見えていたら、
どう感じるのだろうか?と思います。 陸上の生物さえも全てが把握できてない中で、
海の中にはもっと謎な世界もあるはずです。それに海の中の状況が、
陸上から逐一把握できているわけではないのです。
もし、スケルトン状の水族館のような海だったら、色々と見え過ぎて、
わたし達は混乱してしまうのではないでしょうか。
我々は、解りすぎても、「やってられない。」と思うことがあります。
地球上の色々なことの多くが、本当は「解らないこと」であるのと同じく、
実は私たち一人ひとりが、自分のことを「解ってない」のです。
案外と自分のことは解っていない。
だから、もちろん他人のことなんて解るはずがないのです。
それを解っていると錯覚をしてしまうので、「やってられない」と思うのです。
フラメンコは「解らないこと」です。
これを「解った」とか「解ってる」と思うと危険です。
でも、「解ろうとしないこと」はもっと危険です。
解らないから「やってられる」のです。
解ろうとするから「やってられる」のです。
この「解らない」という状態を、コロナ禍の中で、わたし達はさらに大切にしていく
必要があると思っています。
解らない世界、解るはずのない世界を、
海に例えてみなさんには踊っていただきたく思います。
そしてコロナ禍において、思考停止に陥らず、本番までやり通してくださった
出演者の皆さんには、敬意と感謝を申し上げます。
また、この状況下でこの発表会にお付き合いくださったカンテの天野さん、
ギターの大山さんには心より感謝いたします。
アフターコロナの次の世界は、もう少し自由になれたらよいと思います。
講師 太田 有香